数世代がともに暮らしていたかつての住まいでは、冠婚非祭の儀式はもちろんのこと、出産までもが「家」の中でとり行われ、家族は住まいを中心に生活を営んでいました。いまでは、結婚式も葬式も、外部の施設で催すのが当然であり、子どもは病院で生まれます。日本の住宅事情や医学の発展を考えれば、これはやむを得ない流れです。では、家族が「家」で行う営みには何が残されたのでしょう。まず念頭に浮かぶのは、睡眠、入浴、リラックス、そして食事。
(参考情報)
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これは一人暮らしの生活でも行われている基本的な暮らし方ですが、夫婦と子どもの生活には、これに子育てと団らんが加わります。ところが、食事という大切な営みでさえ、家の中から追いやってしまう家庭が少なくありません。ここでいう食事とは、調理をともなう食卓の風景です。私の事務所で扱った三十代の夫婦も、料理への執着心はとても希薄でした。新築一戸建ての住まいであるにもかかわらず、「料理はほとんどしないので、キッチンはシンプルでいい」とのこと。とはいえ、食事へのこだわりが全くないわけではありません。店で食べる料理にはうるさく、いわゆるグルメ志向の夫婦なのです。ある識者は、「こうした状況が進めば、キッチンはおろか、ダイニングさえ家からなくなっていくだろう」と指摘しています。
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